テレビクイズ番組の復習
日本語クイズ番組「知らないと恥をかく!日本語ボーダーライン」を見ていたら、いくつか気になるところがあったので、後で調べてみた。というか、そんなことも知らなかった私。
- 【問題】正しいのは?
- 焼けぼっくいに火がつく(○)
- 焼けぼっくりに火がつく(×)
- 調べたこと
- 「ぼっくい」は、棒杭(ぼうくい)の変化したもの。
- 漢字で書くと「焼棒杭(やけぼっくい)」。火事の後に焼け残った柱などを意味するらしい。
- 焼き栗とは関係ない。似た語として「ぽっくり死ぬ」の「ぽっくり」や、木製のはきもの「木履(ぼくり)」があるが、いずれも関係ない。
- 【問題】正しいのは?
- 一躍脚光を集めた(×)
- 一躍脚光を浴びた(○)
- 調べたこと
- 「脚光」は舞台の床の前のほうに付けられたライト、フットライトのこと。足元から照らす。
- 「一躍脚光を浴びる」というのはつまり、舞台の後ろから前のほうに躍り出て(=一躍)、ライトを浴びること(=脚光を浴びる)を意味するのだと思われる(←ちょっと拡大解釈しすぎ)。
- 脚光は(スポットライトとは違って)集まったりはしない。
- 【問題】正しいのは?
- 押しも押されぬ人気作家(×)
- 押しも押されもせぬ人気作家(○)
- 調べたこと
- 単独で「押されぬ」という言い回しがあり、堂々と立派であること、動かしようがないことを意味する。
- つまり「押されぬ」と「押しも押されもせぬ」とは、同義語。
- 【問題】読みは?
- 労う(ねぎらう)
- 調べたこと
- 「犒う(ねぎらう)」とも。
- 【問題】読みは?
- 怠い(だるい)
- 調べたこと
- 「懈い(だるい)」とも
- 【問題】読みは?
- 健か(したたか)
- 調べたこと
- 新明解国語辞典では、「すこやか」の見出し語が「健(や)か」となっていた。
- つまり「健か(したたか)」、「健か(すこやか)」は両方正しい。「辛い(つらい)」と「辛い(からい)」みたいなもの。
- 「したたか」は、普通は「強か(したたか)」を使う。
- 驚いたことに、このあと番組中で平然と「強か(したたか)」のほうも出題される。
- 【問題】正しいのは?
- 心身を鍛える(○)
- 身心を鍛える(×)
- 調べたこと
- 一般的なのは「心身」のほうだが、実は「身心」も正しい。どちらも意味は同じ。
- 「心」を「神」で置き換えて、「神身」、「身神」とも書くらしい。
- 「心神」という語もあるが、これは別の意味。ややこしい。
- 【問題】正しいのは?
- 冷え性(○)
- 冷え症(×)
- 調べたこと
- 番組中でも解説があったが、生まれつきの性質が「性」、病気でなるのが「症」、と使い分ける。
- つまり、生まれつきでなく大人になってから「冷え性」になって、そのせいで病院に通うような場合、「冷え症」と言えなくもない(書けなくもない)。
- 最近は意図的に「冷え症」のほうを使うケースも多い。検索すると(冷え症 - Google 検索)、クリニックっぽい(?)ページがたくさん出てくる。検索結果上部で Google が「もしかして: 冷え性」と赤字を入れてくれている。