「一太郎 文藝」の秀英体の解説はよくないと思う

一太郎 文藝」に秀英体を使うことは、とても良い企画だと思うし、秀英体が好きで買う人も結構いるのだと思います(私もちょっと欲しい……)。


でも、解説に使われている画像は、これはよくないと思います(少々画像を荒くしていますので、興味のあるかたは原本「一太郎 文藝」をご参照ください)。

この図だと、ついつい、「なるほど秀英体ならば『鴎』も『麹』も正字が使える、秀英体はすごい」と解釈してしまいそうです。

ですが「鴎」の正字も、「麹」の正字も、JIS の第 3 水準(JIS X 0213)に含まれています。別に秀英体でなくても、JIS の第 3、第 4 水準に適合したフォントならば、「鴎」も「麹」も正字で表示できます。

「鴎」、「麹」の正字は、秀英体とは関係ないのです。文字コードの問題なのです。この図の、「鴎」、「麹」の部分は、ちっとも秀英体の良さを伝えてはいません。個人的には、文字コードに関する誤解を振りまいているのではないかと不安になります。

秀英体のサイトでも、「一太郎 文藝」の紹介ページが設けられています→「『一太郎 文藝』への秀英細明朝体搭載のおしらせ」。

ひらがなの「い」「た」などがひと筆書きになっている特長からクラシカルな表情を持ちますが、伸びやかな線のハライと明るい表情が特徴の書体です。

せっかくの秀英体なのですから、ジャストシステムさんにも、こういう部分をもっと強調して欲しいと思うのです。たしかに画像には「い」も「た」も含まれてはいますが、これでは書体の良さは伝わらないと思うのです。

……と言いますか、その、そもそも原稿用紙に明朝体で書くなんてナンセンスだろ、と思ったり思わなかったり。こんな間抜けな背景、間抜けな字間で表示されてしまって、なんだか秀英体がかわいそうだと思うのです。