風月堂の「風」


お菓子の缶の中に、風月堂の由来が書かれた紙を発見。

これを読む限り、松平定信公からいただいた屋号は普通の「風」の字で、それを市川米庵が書いたときに(揮亳したときに)内側が百の「風」になったみたい。

気になって検索してみたら、「風月堂社史本文―江戸」というページがヒット。この「風」の由来には「いくつかの説がある」とのこと。ちょっと長いけど関連部分を引用。

1つは松平定信の雅号をそのままいただくには恐れ多いから風にしたという説。また、一方には、米庵は唐風流の書家であったため“風”の中の一虫を嫌い、その古字である“風”を記したという説である。さらに風でなく風であるのは、風と書くところを筆の勢いが余って続けて筆を運んでしまい、百になったという説。几の中の一日を続けることによって頭結一致するものとして記したという説。また、百という数字を書くことによって多くのお客がくるようにとの縁起をかついだという説も伝えられているが、いまとなってはどの説が正しいかは定かではない。

いずれにせよ、「いまとなってはどの説が正しいかは定かではない」とのことで、ちょっと残念。個人的には「勢いが余って」説に一票。

この、いわれのよくわからない「風」が、JIS の第三・第四水準に採用されていると思うと、なんだか感慨深い。文字って案外「時の運」。