正字正かな關係者に37の質問とか、について

ウェブを徘徊してゐて、「正字正かな關係者に37の質問とか」といふ頁を発見。興味を引かれたので回答を試みたのですが、用語がよくわからず、玉砕してしまひました。疑問はふたつ。

  • 正字正かな」?
  • 「略かな」?

まづ、「正字正かな」です。なんとなく、いはゆる「旧字旧かな」を意味してゐるやうな気がするのですが、自信がありません。

調べてみたら、「言葉 言葉 言葉」内の「『言葉 言葉 言葉』における國語關係の用語集」の、さ行に「正字正かな」が定義されてゐるのを発見しました。ですが、この用語集には下記のやうに明記されてゐます。

  • サイト制作者である野嵜の獨自の用語を定義してゐる定義集である爲、一般的な用途での利用・引用は避けて下さい。

どうも、「言葉 言葉 言葉」に無関係の人が気軽に使ふのは、問題があるやうです。

もう少し探してみたら、「『正字正かなポータル』について」の特記事項のところに、もう少し細かい記述がありました。

  • 當サイトでは「正假名遣」「歴史的假名遣」を用語として併用してゐます。兩者は大體同じ概念を指します。基本的に、「歴史的に成立した假名遣の概念と、その規則としての體系」を指して「歴史的假名遣」と呼び、表音主義の概念を導入して作られた「現代かなづかい」に對立する「一貫した體系としての假名遣」を(歴史的假名遣と内容は同じですが)「正假名遣」と呼ぶ事にしてゐます。
  • 當サイトでは、漢字制限にとらはれない用字法や簡略化する以前の字體と云つた概念を含む「漠然とした漢字の使用方法」を指して「正字」と呼ぶ事があります。「正字體」を略して「正字」と呼ぶ事もあります。

概念としては理解できたと思ひます。「正かな」は、たぶんこんな概念↓だと思ひます。歴史的仮名遣ひと対比してみました。

  • 現状、実質的には、「正仮名遣ひ」と「歴史的仮名遣ひ」は同一と考へて問題ない。
  • 概念としては、「正仮名遣ひ」と「歴史的仮名遣ひ」は異なる。
    • 「正仮名遣ひ」は、矛盾のない体系を持つ仮名遣ひのことである。長年の研究により、「歴史的仮名遣ひ」が、これに該当することが(矛盾のない体系を持つ仮名遣ひであることが)わかつてきてゐる。今後の研究によつては、「歴史的仮名遣ひ」の体系にも矛盾が見つかるかもしれない。その場合は、「歴史的仮名遣ひ」は「正仮名遣ひ」に該当しなくなる。
    • 歴史的仮名遣ひ」は、「現代かなづかい」が用ゐられる前に実際に運用されてゐた、実在する仮名遣ひである。体系的かどうか、正当かどうかはともかく、実在してしまつてゐる。今後の研究によつて「歴史的仮名遣ひ」の体系に致命的な矛盾が発見され、「正仮名遣ひ」に該当しなくなつたとしても、「歴史的仮名遣ひ」は「歴史的仮名遣ひ」のままである。
    • ひとことに「歴史的仮名遣ひ」と言つても、実際には長い歴史の中で絶えず改変されてゐる。さういふ改変を許容する懐の広さも含めて「歴史的仮名遣ひの体系」と考へるべきである。従つて、よほどのことがない限り、「歴史的仮名遣ひ」は「正仮名遣ひ」であり続けると思はれる。

正字」は、たぶんこんな感じ↓。漢字分野で用ゐられる「正字正字体)」と対比してみました。

  • 「言葉 言葉 言葉」で用ゐられる「正字(正漢字)」と、漢字分野で用ゐられてゐる「正字正字体)」とは、異なる概念である。
    • 「言葉 言葉 言葉」で用ゐられる「正字(正漢字)」は、当用漢字などの国策が行なはれる直前の時点で、日本国内で正当と判断されてゐた漢字のことを指してゐる。数千年もの漢字の歴史の中でいへば、ごく最近の時点の話であり、日本といふ限定された地域での話である。ごく最近まで現実に利用されてゐた漢字である。
    • 漢字分野で用ゐられる「正字正字体)」は、字源や字の解釈について、正当な根拠のある字体のことである。基本的には、可能な限り歴史をさかのぼって、正当性を判断する。最近の利用実績があるかどうかは関係ない。
  • 内容としては、「正字(正漢字)」は、いはゆる「旧字」と同一である。

つまり、「国による国語施策が行なはれる直前の国語表記法」のことを指して「正字正かな」と呼んでゐるやうです。実質的には「旧字旧かな」と同じですが、概念が違ふ。「正字正かな」は、「旧」ではなくて「正当なもの」だといふこと。ほぼ納得。

次に「略かな」です。直感的に「略仮名遣ひ」のことだらうと解釈したのですが、「仮名遣ひ」を「略」すといふのは、よくわかりません。

上と同じ、「言葉 言葉 言葉」内の、「『正字正かなポータル』について」の特記事項のところに、記述がありました。

  • 當サイトでは、「正假名遣」「正字」を總稱して「正字正かな」と呼んでゐます。それに對して、「現代かなづかい」「当用漢字」或は「現代仮名遣」「常用漢字」を「新字新かな」「略字略かな」と呼んでゐます。

「現代かなづかい」または「現代仮名遣」のこと指して「略かな」と呼んでゐるやうです。「現代かなづかい」や「現代仮名遣」は、何かを略してゐるわけではないと思ふので、「略かな」といふ単語には抵抗があるのですが、理解することはできました。

さて疑問が解消されたので、早速「正字正かな關係者に37の質問とか」に答へてみようと思つたのですが、ここで更なる疑問が。

正字正かな關係者」つて、誰?