ステンシル書体(?)の職人技

いわゆる「ステンシル」のように、穴の開いたプレートの上から、スプレーで色を吹いて文字を書く手法があります。

同じ字を大量に書かねばならない場合に有効な手法だったのですが、最近はほとんど印刷やシールで置き換えられてしまいました。こういう手作業の文化、職人の技が失われていくのは非常に残念です。


写真はアスファルトに吹き付けられた「水どう」。おそらくは「道」の画数が多いため、平仮名に置き換えたのだと思われます。現実的な判断で、好感が持てます(「水」の字形が妙なことになっているのは見なかったことに……)


こちらの「古河電工」は、果敢にも複雑な字に挑んでいます。写真が悪くて申し訳ないのですが、下には「使用後御返却願います」とあります。相応の可読性を確保しつつ、見事に字を切り抜いています。


古河電工」と同じ場所で「取扱注意」も採取。「取扱」のあたりで確認していただきたいのですが、それぞれの画が筆順どおりに重なっています。職人技です。

うまく表現できないのですが、久しぶりに「生きた文字」を見たような気がします。この字を切り抜いた職人技が、どこかで誰かに継承されていることを願ってやみません。そう思うならお前が継承しろよ。いやそれはちょっと。